この記事では、時代劇ドラマ「無宿侍」のあらすじと見どころについてまとめています。
これから視聴を予定されている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
それでは、時代劇ドラマ「無宿侍」について詳しくご紹介します！
「無宿侍」とは
「無宿侍」概要
「無宿侍」は、1973年10月6日から12月29日まで全13話がフジテレビ系列で放送された時代劇ドラマです。
主人公は忍者の集団から抜け出し、ひとりさすらう卍 幻之介(柘植のゲン)。
いわゆる“抜け忍”の厳しい運命を描いた、ウエスタン調時代劇と紹介されました。
ゲンを演じるのは、ニヒルな役柄を演じさせたら右に出る者はいない天知 茂さん。
本作でも孤独で影のあるヒーローを演じています。
そして製作陣には五社 英雄さんが名を連ねており、アウトローの悲哀や美学も感じさせる重厚な時代劇となっています。
主人公が繰り出す独特の忍者剣法「逆手斬り」は、一見の価値アリ。
「無宿侍」スタッフ
企画
五社 英雄
プロデューサー
梅村 幹比古、五社 英雄、新藤 善之
監督
田中 徳三、五社 英雄、土屋 啓之助 他
脚本
石川 孝人、田坂 啓、押川 國秋 他
撮影
森 隆吉
音楽
冨田 勲
ナレーター
芥川 隆行
「無宿侍」キャスト
柘植のゲン→卍 幻之介(演：天知 茂)
「陰公方」に仕える忍者集団「陰」の一員。
いつも冷徹に仕事をこなし、感情をおもてに出さない男。
弥藤次とは親友であり、彼の言動に心を動かされ自分も「陰」を抜けることを決意する。
弥藤次(演：山崎 努)
ゲンとともに、「陰」で活動する忍者。
何の疑問もなく任務をこなす自分に嫌気がさし、漠然とした不安を感じていた。
ひょんなことから知りあったさとに恋心を抱き、仲間を裏切ることに。
きらら(演：松岡 きっこ)
「陰」の女忍者(くのいち)。
ゲンに下された「子を作れ」という命令の、相手役に指名される。
ゲンを好きだったが、抜け忍となってしまったゲンを追うことになってしまう。
さと(演：宇都宮 雅代)
妹が崖から落ちそうになっているところを、ゲンに助けられた。
ゲンにひとめぼれするが、彼女に興味を持ったのはいっしょにいた弥藤次だった。
ちこ(演：？？？) さとの妹。
影の雲十郎(演：西村 晃)
忍者集団「陰」の頭目。
あかね(演：藤田 みどり)
くのいち。
伝達師
不気味な仮面をつけた忍者。
「陰公方」の命令を、雲十郎に伝えに来る謎の人物。
陰公方
他
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「無宿侍」のあらすじ・全話紹介
第1話「掟討ち」
柘植のゲンと弥藤次は「陰公方」に仕える忍者集団「陰」の一員で、親友同士でした。
冷徹に淡々と仕事をこなすゲンに対し、弥藤次はまるで人形のように命令を遂行する自分にいら立ち、漠然とした不安を感じていました。
ある日、暗殺の任務を終えて戻ろうとしていたふたりは、少女が崖から落ちそうになっているのを発見。
ゲンがとっさに少女を助け少女の姉さとはゲンにひとめぼれした様子でしたが、彼女に熱い思いを抱いたのは弥藤次のほうでした。
さとたちを助けたこと、また一揆を企んでいるという理由でさとの父親を消せと雲十郎に命令されたことから、弥藤次の鬱屈した思いが爆発。
弥藤次は雲十郎の命令にそむき、ともにさとのうちへ向かった忍者仲間を殺害し、さとの父親を助けたのです。
弥藤次はさとがゲンに気があることを知りつつ、追っ手松丸たちを蹴散らしたのち、さととともに生きると宣言するのでした。
そんななか仲間を裏切った弥藤次を消してこいと雲十郎に命じられたゲンは、激しく動揺していました。
苦渋のすえ向かった先には、ゲンの到着を待っていたかのような弥藤次が。
ふたりは刀を交えることになり、戦いのさなか弥藤次はゲンに言うのでした。
「おまえにとっての掟とは何だ、おまえは何のために生きているのだ…！」
自分の存在と行動に疑いを持ち始めるゲン、しかし彼の刀は弥藤次の命を奪い…。
ゲスト出演者
露口 茂・今村 原兵・石川 冷 他
第2話「皆殺しの宿場」
自分の存在意義を疑い、絶対服従のはずだった「伝達師」を殺害してしまったゲン。
「陰公方」の正体を暴き、弥藤次が果たせなかった人間らしいものを探すためゲンは”抜け忍”となりました。
“卍 幻之介”と名を変え、あてもなくさすらう日々。
そんななか侍になり「陰」からの追っ手をまかされた左近次という男が、幻之介に卑劣な罠を仕掛けてきました。
幻之介を陥れるためだけに、親切心や恋人を思う気持ちを左近次たちに利用されてしまった女郎おしん。
幻之介はおしんに同情し、彼女の薄幸に涙を浮かべずにはいられませんでした。
「何もかも、穢されてしまったのだな…。」
ゲスト出演者
松尾 嘉代・京 春上・深江 章喜 他
第3話「群狼の詩」
若い娘が収められた棺桶や地蔵を、大八車に乗せて運ぶ村人たちを見かけた幻之介。
実はこれらは、上納金を運ぶための見せかけのもの。
貧しい村人たちは、他人をこれ以上貧乏にすることはできないと、みずからの手で上納金を運ぶつもりだったのです。
狙いを絞りこませないために、ダミーの大八車を走らせていたのでした。
しかしもう貧乏はコリゴリだと、賞金稼ぎの女おようが上納金を奪おうと画策していました。
おようは幻之介に、この計画を持ちかけてきます。
一方で自分の仕事と組織に誇りを持つ、別の集団の忍者もこの騒ぎに巻き込まれます。
それぞれの立場の生きざまが交錯し…。
ゲスト出演者
夏八木 勲・宮本 信子・大木 正司 他
第4話「抜忍無情」
幻之介と同じような”抜け忍”が近くにいるらしい、という情報がもたらされます。
そんななか飢饉が続いて民は飢えているのに、年貢米を厳しく取り立てる代官にたてつく農民のリーダーがいました。
代官の妻や息子を拉致してまで激しく抵抗する若者に、”こいつが抜け忍ではないか”と目星をつけた幻之介。
しかし実はこの代官こそが、かつて「みみずくの繁造」と呼ばれていた忍びだったことが判明。
忍者の掟を破って、”抜け忍”となった代官。
それにもかかわらず今は幕府の掟に縛られ農民たちを苦しめる代官に、幻之介は怒りをおぼえ…。
ゲスト出演
芦屋 雁之助・北町 史郎・黒沢 のり子 他
第5話「傀儡人形の草笛」
「陰」に属していた一年前、幻之介はある男を暗殺しました。
幻之介はひょんなことから、その男の娘と出会います。
娘には侍の許婚がいましたが、男は己の野望に目がくらみ自分の仲間を見殺しにしてしまいました。
幻之介はこの男を倒したのち、復讐されることを覚悟で娘に自分の正体を明かします。
ところが娘は、幻之介に敵討ちをすることができず…。
ゲスト出演
吉田 日出子・江原 真二郎・戸上 城太郎 他
第6話「俺が拾った宿命」
幻之介のところに転がり込んできた、こはるという女。
彼女は「疾風の左近」という賞金首を愛していましたが、どうも幻之介と左近はとても似ている様子。
こはるはこのことを利用して、奉行所に左近であると偽って幻之介を突き出したのです。
実はこの左近、幼いころ貧乏だったゆえに人買いに兄を売られてしまい、それから悪行を重ねるようになったらしいのです。
売られていった兄を思い、金のために子どもを売った両親を憎み、左近はグレてしまったのでした。
生い立ちを聞き、左近が幻之介の生き別れた弟であることが判明します。
しかしそこに突然「陰」の追っ手が襲撃、左近は幻之介をかばって…。
ゲスト出演
岸田 森・高野 浩幸・御影 京子
第7話「情無用の罠」
「陰公方」の正体を暴こうと、関係のあるらしい村へ急いでいた幻之介。
そこに「陰」の追っ手である女忍者あかねがあらわれます。
あかねの策略により深手を負った幻之介は、瓦職人の男とその縁者の娘に助けられました。
早く出立したい幻之介でしたが、娘が身につけていた赤いかんざしに、さとの姿をまざまざと思い出しました。
人を愛し慕う心を教えてくれたさとを思い、幻之介は捕らえられている娘の兄を救おうと決意。
しかしこの幻之介の行動は、「陰」の思うつぼで…。
ゲスト出演
中村 竹弥、清川 新吾
第8話「無情の唄」
生活が貧しいゆえに一揆を企てた農民たちが、雇われ浪人たちに斬られるという事件が発生。
これを目の当たりにした幻之介は、殺されてしまった農民たちに深く共感します。
ところが難を逃れ生き残った農民たちも、雇われ浪人も、すべて「陰」の者だったことが判明。
「人を信じることなど、おまえにはもうできないだろう」と嘲笑う「陰」の者たち。
しかしこんな卑劣なやり方で、幻之介の”生への欲求”は消えることなどなく…。
ゲスト出演
中谷 一郎・早川 保
第9話「恋慕娘無残」
「陰」の者たちに襲撃され一時的に視力を失ってしまった幻之介は、獣を捕える罠にかかって意識を失ってしまいました。
気が付くと、ある重罪人を捕まえるため不審者をかたっぱしから牢屋に放り込んでいる役人たちにより、幻之介は関所の牢屋に入れられていました。
いっしょに牢にいた女が脱出を提案し、幻之介は女とともに牢からの抜け出しを試みます。
しかし最初に言い出したはずのこの女が突然「牢破りだ！」と騒ぎだし、関所は騒然となりました。
幻之介は騒ぎに乗じてひとり脱出した女を追い、「他人を犠牲にしてまで生き延びたいのか」と問い詰めます。
実はこの女こそ、藩と陰公方の駆け引きの犠牲となった貿易商・平戸屋の生き残りで、証拠となる海上通行証を持ったまま姿をくらましていた阿茶であることが判明。
阿茶は、双方から追われている”重罪人”だったのです。
家族を陥れた者へ激しい憎悪を抱く阿茶に心を奪われた幻之介は、ふたりで牢に引き返すことにします。
ところが関所が大爆発し…。
ゲスト出演
二本柳 敏恵・石橋 雅史
第10話「蒼い人魂火」
農夫・為吉の息子・豊松が行方不明に。
「陰」にさらわれたのでは…考えたものの、幻之介は深入りを恐れて立ち去ろうとします。
しかし夫の酒ぐせの悪さに女郎にまで身をおとした母親・お澄が豊松を心配するあまりに逃げ出したすえ、女衒たちに殺害されてしまいました。
これを目の当たりにした幻之介は、豊松探しに協力することにしました。
しかし為吉もまた、「陰」の者たちの謀略によって命を落としたのでした。
幻之介はある寺に葬られたお澄の墓を訪れましたが、その横に弥藤次の名が刻まれた塔婆を発見。
驚く幻之介の前にあらわれたのは、住職の仙蔵と幻之介の人生を変えた女さと。
弥藤次の命を奪った幻之介を、さとは「人殺し！」と激しく叱責。
そんなさとに対して幻之介は、供養のために弥藤次とお澄の墓前で「陰公方」を打倒する誓いを立てさせてほしいと頼むのでした。
ところが住職の仙蔵が、「陰公方」の隠し目付けだったことがわかり…。
ゲスト出演
桑山 正一・梅津 栄・戸田 春子 他
第11話「逃亡街道」
大雨が降って川の渡しが止められ、幻之介は近くの宿場で足止めをくっていました。
同じ宿にはワケあり風の男女がおり、また大阪弁で話す人の良さそうな薬売り・仙太もいました。
実はワケあり風男女は心中を考えており、幻之介は彼らの逃亡を手伝ってやることにします。
人の情に打たれて笑顔を見せるようになったころ、幻之介の心を打ち砕くような出来事が。
心を許し始めていた仙太が、幻之介を倒して「陰」の里へ返り咲こうとしていた抜け忍だったことが判明したのです。
裏切られ、悲しみと絶望の表情を浮かべて、幻之介は刀を構え…。
ゲスト出演
入江 若葉・信 欽三・ジェリー藤尾 他
第12話「追いつめる」
高槻藩は、徳川家から嫁を迎えることに。
途中の宿で一行と鉢合わせた幻之介は、「陰公方」の命令で「陰」に狙われる姫を救いますが供の腰元がひとり命を落としました。
実は彼女こそ本物で、替え玉・かえでと側近は「陰」の一員だったのです。
それを目撃した宿屋の主人は、幼い娘を遺して殺害されてしまいました。
少し前のこと、この宿に「陰」の里から逃れてきたさとが身を寄せていました。
宿屋の主人の娘ちずが持っていた赤いかんざしは、間違いなくさとのもの。
それに気づいた幻之介は、かえでから「月ヶ瀬」という地名を聞きだし雲十郎の待つ「陰」の里へと向かったのでした。
さとは「陰公方」のもとへ連れ去られていました。
廃寺で雲十郎と対決し、幻之介は致命傷を負わせます。
「陰公方とは何者なのだ？」と問いただしますが、雲十郎もまた何も知らないようで…。
ゲスト出演
伊沢 一郎・天草 四郎・工藤 堅太郎 他
第13話「ふたり幻之介」(最終話)
相続争いが激化する城下で、「斬 幻之介」と書いた紙を残す幻之介の名をかたった辻斬りが発生していました。
辻斬りは面をつけ、正体不明だと言います。
これは自分の息子を後継ぎにしようと画策する側室・お松の方が家老と共謀し、兵馬という男に実行させていた事件でした。
実はお松と兵馬は「陰」の里からの”抜け忍”。
お松を逃すさいに額に”抜け忍”を示す烙印を捺された兵馬は、同じ”抜け忍”でありながら自由に表を歩く幻之介を憎んでいました。
一方幻之介はニセ者を追う途中、辻斬りで命を奪われた者の屋敷の前で祈りを捧げる女おふゆと出会います。
おふゆは兵馬の恋人で、隠れキリシタンでもありました。
事が成就したあかつきには、恋人おふゆと静かに過ごしたいと願っていた兵馬。
ところがお松は、秘密を知りすぎた兵馬の排除を望んでおり幻之介に兵馬暗殺をもちかけるのでした。
闘いたくないという幻之介に、兵馬は刀を向けます。
おふゆはそれを止めようとし、あらわれた家老の凶弾に倒れました。
その後お松の命までも奪った家老に、兵馬が襲いかかります。
兵馬は相討ちで倒れ、幻之介はあわてて彼のもとに駆け寄ったものの…。
ゲスト出演
千波 丈太郎・北川 めぐみ・真咲 美岐 他
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「無宿侍」の見どころ
本作は”抜け忍”の過酷な運命を描いており、天知 茂さん演じるゲン(=幻之介)の苦難を一身に背負ったような表情が印象的な作品です。
彼はこれまで、自分の思想を捨て任務を確実に遂行することのみに、レゾンデートルを見出してきました。
しかし親友である弥藤次が、一般人の娘さとに恋したことで組織を脱退。
ゲンは、この弥藤次の信念と行動に大いに触発されるわけです。
つまりゲンの人生を変えたのはさとではなく弥藤次であり、彼には人間としての尊厳が重要だったのだと思いました。
…おや？
と言うことは、ゲンと弥藤次のダブル主人公ってことになりませんかね(;・∀・)
それほど山崎 努さん演じる弥藤次という男の存在感は、初回で早々にいなくなってしまうとは言え大きいものでした。
一方で「人間らしく生きたい」と願うゲンは、人間らしくしようとすることで命を落としそうになります。
そこには彼のジレンマが見え隠れしますね。
ゲンが見せる、悲しみと驚きと絶望の入り混じった表情が、彼の心を雄弁に物語っています。
「無宿侍」みんなの感想は？
天知茂、岸田森、沖雅也……私の世代だと、もうちょっと長生きして欲しかったなあと思う俳優さんたち。
天知茂&岸田森は『無宿侍』で兄弟みたいな回がありました。— 幻 (@Gmnt_bcwiz) May 4, 2023
『無宿侍』、忍者の描写がダサいのと打ち切りエンドだったこと以外は何も文句ないです 個人的ベストオブ天知茂は第三話で草笛吹いた後しばらく草をくわえたり唇に押しあてたりしてた天知茂
— なも屋 (@gif_as) April 4, 2023
尊いですね！
そうですよね。無宿侍は追う追われるの立場だった割には、そこまで深い関わりがなかったですもんね。
まあ深い関わりが無いからこそ追うように命じられたんでしょうけど— ロズキャット (@lothcat0926) May 18, 2023
「無宿侍」についてまとめ
本作はなぜか打ち切りになったと聞きましたが、もったいないですね。
中途半端に終わってしまったような感じがありますし、もしかすると続編があったのかもしれないなぁと思ったりもします。
いずれにせよ、”ニヒルの代名詞”のような天知 茂さんを惜しげもなく見せてくれるドラマなんですよ。
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